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21 夜の部活動

「俺、泊まってって良いんだよなぁ?」
 そんな当たり前の事を訊くので「ソファで寝て」と悪戯っぽい笑みを浮かべながら答えると、また膨れっ面になった。
「夜這いしてやっからな」
 そう言うので「うそだよ」と肩を叩いてやった。
「ベッド、シングルだから狭いよ?それでもいい?」
「その方が良い」
 彼は煙草を手に、ベランダに出て行った。ひゅっと冷たい風が部屋に入り込んだ。
 今日はコンドームを幾つ持ってきてるんだろう。

 別れられない彼女への懺悔の念と、リンが欲しくてたまらない我欲がせめぎ合っていて、どちらが本物の自分なのか分からない。
 今頃彼女は、寂しいクリスマスを過ごしているんだろうか。笑いあえる友達と過ごしているだろうか。顔も見た事が無いその彼女を少し、不憫に思った。
 少しの罪悪感と、少しの優越感、そんな感じだ。

 煙草を吸い終えたリンの手を引き、寝室へと招き入れた。
 ベッドに腰掛けるとリンも隣に腰掛け、私の頬に手を当ててキスをした。
 煙草の苦い味がして「苦い」と言ったら「ごめん」と謝るくせにキスを止めなかった。
 既に部屋着に着替えていた私の服を脱がすのは難しい事ではなく、あっという間に全裸だった。
 リンはキスしながら器用にワイシャツのボタンを手早く外し、パンツのファスナを下すとそれを脱いだ。2人ベッドに傾れこんだ。
 もう私はキスしている時点で濡れているのが自分で分かっていた。
 わざわざ音を立ててそこを弄ぶリンは、意地悪だなぁと思ったけれど、そんなリンにしがみ付いて喘いでいる自分に、リンを責め立てる資格はない。
「今日は何ラウンドですか?」
 挿入されている最中に喘ぎ喘ぎ訊いてみると、リンも切羽詰った声で答えた。
「3ラウンドは堅いな。あぁもう出そう」
 突き上げる速度を上げ、中で果てた。
 コンドームを外し、処理をし終わると、また私に重なり、キスを求めた。
 次の瞬間には彼の股間はびよよーんと起立して、私のお腹の辺りを濡らしているので手におえない。
 結局の所、5セットだ。なんだこの数字は。部活か?筋トレか?スクワットか?
 私も途中で復活してしまい、2回もイかされた。

 くったくただ。何が聖夜だ。性夜の間違いだろう。きっと中田さんや世の中のカップルは、クリスマスにかこつけてあんな事やこんな事して過ごしているに違いない。腰に鈴でも付けて踊ってろ。
 疲れ果てて、リンの股間の再起能に呆れて、それでもリンが愛おしくて、抱きしめて眠った。
 朝の訪れを憎らしく思った。

 ニコチンヤクザだけど、彼女がいるけれど、それでも愛している。
 言葉だけでは満たされない。身体が繋がる事で愛を確信できる。