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あとがき

 この度は「世界から四角く切り取られた破線」をお読みいただきありがとうございました。
 最近、ホームページのリンクをさせていただいている方々の、素晴らしく読みやすい学園モノの小説を読んで触発され、学園モノを書いてみました。前回は大失敗でしたからね (笑)!
 非常に残念ながら、やっぱり暗い話になりました。でも締め括りは救いようのある終わり方で、自分的には良くやった!と。

 毎日のようにニュースで流れる幼児虐待、児童虐待。難しいテーマでしたが描いてみました。本当はもっと残酷で、軽々しく小説のテーマにして良い事ではないのかも知れないけれど、命の重さを考える上で、こういったテーマを持ち出す事が許されては良いのではないかとの勝手な判断です。
 もう一つ、多発性骨髄腫。これは非常に予後が悪い病です。私は友人をこの病で亡くしております。あっという間でした。がんの一種ですので、若ければ若い程進行が速く、痛み、苦しみは私の様な健康な人間の想像の域を恐らく大幅に越えています。
 そんな中で泉の妹は、病院の移動式の机でちくちくと、ハンカチを縫っていた訳です。だから、浩輔があのハンカチを守ってくれた事に泉は、本当は凄く感謝をしているのです。妹の「命の時間」が少しずつ、そこに埋め込まれている訳ですから。

 親を殺そうと思う所まで追い詰められた浩輔の取った行動は、正しい物ではありません。だけど、絶対に悪なのか?と考えた時に、私は答えに詰まってしまいます。どうしたら良かったのか。他の大人に助けを求めたら、助かったのか。きっとニュースでは「児童相談所には虐待の報告は入っていなかった」そんな事が流れたのでしょうね。責任はどこにあるのか、結論を付けたがる世の中です。

 ともかく、自分の首を絞めるような重たいテーマで書きました。命の在り方、幸せの形、色々な事を考える切欠になるようなお話になっていればいいな、と思っています。

2012/10/25
SO-AIR